第1回 消費税の還付とは?
建築費に係る消費税
賃貸アパートを建築しますが、この建築費に含まれる消費税は、貸店舗や貸事務所の建築費の消費税と違って消費税の還付を受けることはできない?
賃貸マンションを建築すると、オーナー様は、建築費とともに多額の消費税を支払うことになりますが、この消費税は国から還付を受けることができます。ただし、消費税に関する各種届出書の提出が必要なケースが多く、また還付を受けるための工夫も必要です。
消費税の還付の仕組み
消費税は、その課税期間中の「預り消費税」から「支払消費税」を控除して算出します。
預り消費税が多ければその差額を国に納付し、支払消費税が多ければその差額について国から還付を受けることができます。建築費とともに支払った消費税も、この「支払消費税」に含まれますので、還付を受けることができるのはこの計算方法によるためです。
控除対象額の計算方法
| 計算方法の種類 | 計算方法 | |
|---|---|---|
| 本則課税 | 個別対応方式 | 支払消費税のうち課税売上に対応するもの |
| 一括比例配分方式 | 支払消費税×課税売上割合 |
|
| 簡易課税(届出が必要) | 預り消費税×業種ごとのみなし仕入率 | |
「個別対応方式」は、支払った消費税を、課税売上を得るための消費税と、非課税売上を得るための消費税とに分別し、基本的に課税売上を得るための消費税のみが控除の対象となります。そのため、マンションの建築費の消費税は、非課税売上である家賃収入を得るための消費税であるため控除の対象とはなりません。
しかし、「一括比例配分方式」によると、支払消費税をすべて合計し、課税売上割合(総売上高に占める課税売上高の割合)を乗じたものが控除の対象となりますので、マンションの建築費の消費税も控除の対象に含めることができます。
消費税の還付額を高める工夫
一括比例配分方式を選択すると、課税売上割合が高いほど「支払消費税の控除対象額」が大きくなります。そのため、マンションの引渡しを受ける課税期間の課税売上割合を高めることが還付額を大きくするポイントです。そのためには、次の2つに注意する必要があります。
(1) 家賃収入の発生時期について
通常、マンションが完成した後は、完成後すぐに非課税売上である家賃収入が大きく発生するため自動的に課税売上割合は低くなります。

課税売上割合を高めるためには、家賃の発生時期等を工夫する必要がありますが、管理会社の家賃補償等契約の場合は、通常3ヶ月の家賃免責期間がありますので、これを利用することにより、課税売上割合を高めることができます。

(2) 課税売上を発生させることが必要です
課税売上割合を高めるためには、賃貸マンションの完成する課税期間中に「課税売上」を発生させることが必要です。
(不動産賃貸業における課税売上)
店舗や事務所の家賃収入、駐車場収入、管理収入 など
その他の注意点
(1) 消費税の「課税事業者」になることが必要です
消費税の還付を受けるためには、まず課税事業者になる必要があります。課税事業者に該当するか否かは、2年前の課税売上高で判定します。2期前の課税売上高が1,000万円超であればその期は課税事業者に該当し、1,000万円未満であれば、免税事業者に該当します。免税事業者に該当したとしても、「消費税課税事業者選択届出書」を税務署長に提出することにより、翌課税期間から課税事業者になることが可能です。なお、この届出書を提出すると最低2年間は免税事業者に戻ることはできません。
(2) 還付を受けたあとは「簡易課税」を選択します
消費税の課税事業者を選択すると、2年間は課税事業者を継続するため、還付を受けた課税期間の翌課税期間からは消費税の納税が発生します。消費税の計算方法は、「本則課税」と「簡易課税」のいずれかにより計算をしますが、不動産賃貸業の場合、簡易課税を選択するほうが納税額を抑えることができるため有利です。簡易課税は、「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署長に提出することにより、翌課税期間から適用を受けることができます。なお、この届出書を提出すると最低2年間は本則課税に戻ることはできません。
(3) 経理処理についても注意が必要です
消費税の還付を受ける事業年度の経理処理については、「税抜処理」が有利です。「税込処理」で計算すると、納税する消費税が必要経費になる代わりに、還付される消費税が収入金額となります。一方、税抜処理で計算すると、還付される消費税は収入金額にはなりません。経理処理により、所得税等の金額に大きな差が生じますので、ご注意ください。
